TETSUO紙粘土modelART“鑑賞”実践記録 2008.6.10
★SA FU
Elementary School_grade3th class1 Edited by Akkim.
☆小学校3年生が1学期の段階で、どの程度“作品鑑賞”が可能なのか?。実験的に行なった実践報告。
【鑑賞対象作品解説】
☆TETSUO氏(現:高校1年生)の作品。ほとんどは中学生時代に制作したもの。 ☆鑑賞作品はA〜Jの10点。各カードの大きさは高さ5cm(大きさの目安)。ほとんどは容易に自立可能。 ☆どの作品にも芯材としてアルミ等の針金がねじった状態で使われており、関節等を動かして遊ぶことができる。 ☆軽量紙粘土を使用。絵の具を粘土に練りこんだも感じのものと、紙粘土に着色した感じのものが見られる。 ☆ほとんどの作品に、ニスを塗ったような光沢が見られる。
※《追記》Doremiさん情報:色は油性フエルトペンでつけて乾かし、その後アラビアのりを何度も塗り重ねてつやを出したそうです(フエルトペンはホントにフツーのマッキー)。何でニスを使わないのか?と聞くとニオイがイヤなのとベタベタするのがイヤなのだそうです。 ★go→DOREMI a go go
【作品鑑賞】
★「好きな作品・気になった作品」ということで、作品別に感想を書いてもらった。
【作品A】
●みどり色と黒がまざって、とても「すごいな」と思いました。工夫されていて、すごかったです。(さくら)
●丁寧でよかったと思います。(みなみ) ●みどりがとてもカッコいい。(Iゆうた)
●みどり色がキレイだし、肩のあたりのウロコみたいのがカッコいい。(ゆうし)
●細かいところまで丁寧にやってるし、ちょっともはみ出てないからすごかった。(ななか)
●みどり色がカッコいい。紙粘土じゃないと思うくらい作るのがうまい。(りょうた)
●ウロコみたいなところがすごくカッコよかったです。(しゅんぺい)
●色がキレイだったから、カッコいいなと思いました。(なつみ) ●すっごくキレイだった。(みずほ)
●ウロコを一つひとつ丁寧に作っているし、ポーズも決まってる!!。(たつや)●ウロコがとーっても丁寧だ。(りゅうへい)
【作品B】
●口のところがカッコいい。(Kゆうた)
●色がすごかったです。(みか)
【作品C】
●カッコいかった。(なつみ) ●持ち物がすごかったです。(みか)
●色が白ですごくいい。(なつき) ●プラモデルみたいに上手でした。(しょうた)
●ムチの先がハンマーみたいでカッコいいし、針金がうまく使われていてスッゴイ。(たつや)
●ムチのトゲがカッコいい。(りゅうへい) ●すごくキレイに作っていて、ずごく上手かった。(みやび)
●カッコよかった。持ち物がいいと思った。(もえか)
【作品D】
●顔の表情がカッコいい。(りょう)
【作品E】
●爪のカマみたいなところがよかったです。色をうまく使っていて、すごかったです。(けんすけ)
【作品F】
●黄色がすごくキレイ。(Iゆうた)
●目立ってて、テレビに出たりしたら、スゴイ。マンガに出たりしたら、すごくおもしろいと思います。今度テレビに出られたらなぁーと思います。(あみ)
●するどいツメを持っていて、強そう。(あつき)
●色がキレイでとてもすごかったです。(みか)
●金色を使っていて、すごかったです。(しょうた)
【作品G】
●機械みたいでよかったし。色がちょっとにごっていてよかった。(けんすけ)
●すごくカッコよくて、形が複雑ですごいです。(りょうや)
●一番最初に見たとき、粘土で作ってるとは思わなかった。(ゆうし)
●すごくカッコよくて、形もキレイでした。(れい)
●でかくて、色がキレイにぬれていた。(もえか)
●大きくて、細かいところまでできててすごいです。(じゅん)
●丁寧でとってもいいと思った。(みずほ)
●足より体の方が大きいのに、2本の足で立つなんて「すごいな」と思いました。(みお)
●強そうで、キレイで、色がよくて、すごいよかったです。目立ってよかったです。(みなみ)
●体がブロックみたいのでできていたので、とてもびっくりしました。(りの)
●でっかくて、すごい筋肉で強そう。(あつき) ●プラモみたいに上手い。(あきら)
●シワが無いからカッコいい。(りゅうへい) ●大きいし、色もキレイで、とってもすごかったです。(みか)
●すごいカッコいいです。(はるき) ●体の形がすごくカッコいい。(りょう) ●ガンダムみたいでカッコいい。(なつみ)
●プラモデルみたいですごかったです。(しゅんぺい) ●色がカッコいい。(Kゆうた)
●シワがなくて、しかも色のぬり方もスゴイ。プラモデルみたいでカッコいい。(たつや) ●色がはっきりとしてて、カッコいいと思いました。(あみ)
【作品H】
●剣が強そうで、負けず嫌いでケンカで負けなさそうな、楽しい子みたいに見えます。(あみ)
●四本足がカッコいいし、色がすごく濃いからいい。(ゆうし)
●カッコよくてすごかったです。(しゅんぺい)
●4足で、大きな剣がスゴイです。あと、剣を持たないでつけてるのがスゴイです。
●カッコいい。プラモデルみたい。(りょうた)
●青色がキレイだった。強そうだと思いました。(みなみ)
●剣がでかくて、カッコよかった。(もえか)
●足が4本あるのでカッコいい。(Kゆうた)
●剣がすごくデカく、針金をうまく使っていたのでよかったです。そして顔がカッコよかったです。(けんすけ)
●青色がとってもキレイで強そうだった。(みずほ) ●4本の足がすごくカッコよかった。(れい)
●カッコよくて強そうだし、剣を持ってて、スピードも速そう。(あつき) ●足が4本あるのでカッコいい。(はるき)
●体と剣がつながっていて、いいと思う。(あきら)
【作品I】
●針金の手がカッコいい。(あきら)
●刀がとても硬そうで、とってもカッコいい。とてもキレイですごかったです。(さくら)
●すごくカッコよかったです。(しゅんぺい)
●オレンジ色がすごく目立ってカッコいい。(りょう)
●小さいけど、ソードがデカくてカッコいい。(はるき)
●大きな剣の色がキレイです。手を針金にしていてすごいです。(じゅん)
●剣がでかくてカッコいい。(りょうた)
●色が特によかったです。(ゆうすけ)
●剣がすごく大きくて、すごくカッコいくて、強そうだったよ。(れい)
●剣が大きくて、取り外し可能なところがよかったです。下半身にマントみたいなのがあってよかったです。(けんすけ)
●剣がすごくカッコいいし、戦士みたいで、僕の一番のお気に入りです。オレンジ色もいいし、すごくカッコいいです。(ゆうし)
【作品J】
●針金が描いたように見える。つまり、体のようだ。(たつや)
●カッコよくて、テレビに出そうな感じがします。(あみ)
●色がキレイだった。とてもカッコいいと思いました。(みなみ)
●とてもキレイで、カッコいいと思った。(みずほ)
●色もすごく、大きさもすごいですね。(じゅん)
●めっちゃカッコよくて、びっくりした。(りょうた)
●カッコよくて、色もキレイにぬれていたし、形もよかった。(もえか)
●銀の顔がカッコいい。(あきら)
●金のところがピカピカだからカッコいい。(Iゆうた)
●すごくキレイだし、粘土で作ったとは思えないくらい上手だった。(ななか)
●筋肉がついていてカッコいい。(あつき)
●銀とかオレンジ(金)がそろってカッコいい。(りゅうへい)
●大きくて、すごくカッコよくて、銀色がカッコよかった。(れい) ●銀の組み合わせがカッコいい。(はるき)
●色がすごくいい。(なつき) ●色をキレイにぬっていた。(なつみ) ●銀の顔がカッコいい。(Kゆうた)
●シルバーの色がすごかったです。紙粘土とは思えないくらい驚きました。(めい) ●銀色がスゴくカッコいい。(りょう)
●銀色がたくさんあって、キラキラ輝いていて、とってもキレイでした。体がすごく強そうで、カッコよかったです。(さくら)
●すごくカッコよくて、キラキラ光っていました。とてもキレイです。特に肩のところが大きくて感動しました。(りの)
●色が特によくできていました。(ゆうすけ) ●シルバーの色合いがよかったです。特に色合いがよかったです。(みお)
★「作品を鑑賞して、全体的に思ったこと、感じたこと、メッセージ」を書いてもらった。
●色のぬり方がきれいだし、カッコいいから、よかったです。(けんすけ)
●すごくカッコよくて、強そうで、動きが速そう。中に機械が入っているみたい。(あつき)
●全部の作品がとても輝いていて、とてもキレイでした。(さくら) ●ものすごくカッコいい。シワが無いところがスゴイです。(りょう)
●すんごいカッコいい。(はるき) ●全部すごくカッコよかったです。また作って下さい。がんばって下さい。(りの)
●色がすごかったです。またがんばって下さい。(みか) ●またカッコいいのを作って下さい。(なつみ)
●カッコよくて、何でこんなにスゴイんだろうと思いました。(しゅんぺい) ●またカッコいい作品を作って見せて下さい。(みなみ)
●色合いがスゴくキレイでよかった。(なつき) ●また新しい作品ができたら見てみたいです。キレイだと思いました。(みずほ)
●丁寧でカッコいい。(りゅうへい) ●全部カッコいいと思う。(あきら)
●作品が2本足で立っていて、色合いもぬり方も、細かいところも上手でした。2本足で立つのはバランスも考えていて「難しいな」と思いました。(みお)
●全部カッコよくて、私も「キレイに作ってみようかなー」と思いました。(あみ) ●全部、色とか形がすごくて、よくできていました。(ゆうすけ)
●どれも全部細かくてキレイで、すごいと思った。特にJがスゴイと思った。(ななか)
●全部カッコよく作れていますね。(りょうや) ●針金を入れたら動くってことがスゴイです。(ゆうし)
●紙粘土で作ったとは思えないくらい上手でした。(Sゆうた) ●すごく、全員すごいカッコよかったです。(れい)
●どうやったら、シワが無く、キレイにできるんですか?。(たつや) ●全部うまかったです。(みやび)
●キレイに色がぬれていたからよかった。(もえか) ●10個作って、紙粘土を何袋使いましたか?。何を参考にして作ったんですか?。(じゅん)
※漢字やカナ表記は読みやすさを考慮し、“Akkimルール”で変換しています。
【今回の実践に関わる雑感】
図工の学習の中で、子ども達相互の鑑賞活動は容易に行うことが出来るが、それ以外は色々な意味でなかなか難しい。私においてもあまり得意な活動ではなく、ともすると割愛してしまいがちな傾向がある。
さて、今回の鑑賞に使わせていただいた作品との出会いは偶然的なものだった。
以前に友人(Doremiさん★go→DOREMI a go go)のお宅にお邪魔した際のこと。いくつかの段ボール箱の中に、興味を引かれる紙粘土作品群が入っていた。伺うと息子さんの作品とのこと。「これはスゴスギル…」と思ったものの、その場では何のアイディアを生むこともできなかった。
一方、先日行なわれた6月の本校全校朝会で、校長がピカソの「ゲルニカ」について紹介した。校長は、市教研の図工部顧問をされており、芸術に造詣が深い。校長室には、小ポスターサイズの「ゲルニカ」が以前から貼ってあった。
ある時、2年生の子たちがその絵を「見せて下さい」と休み時間に来て、友だち同士で楽しそうに話しながら見ていたというのだ。「えっ?、2年生が?」と、とても驚いた。
全校朝会では、校長が学級担任時代に子ども達と取り組んだ大判の「ゲルニカ」版画作品も紹介され、私もとても感動した。
そして、「子ども達にイイモノを紹介する機会を作ることはとても大切なことだ」と再認識することができた。
予期せず、脳みそのシナプスが激しくつながり合うことがあるものだ。マンガで「電球がピカーっと光る」状態に匹敵する。
折りしも、子ども達自身が紙粘土で「現存しない生命体を創る」という活動を行っている最中だ。「あの作品を子ども達に見せてやろう!」と思わずにはいられなかった。
早速、Doremiさん(★go→DOREMI a go go)に連絡を取ったところ、TESTUO氏も快諾。10点をお借りすることができた。
子ども達は自分の作品づくりで苦労している中であることもあり、興味と関心を持って鑑賞することができたようだ。子ども達は、どの子もとても喜んでいた。
今回は、「3年生で、どの程度の鑑賞ができるか=どんな感想を書けるのか」ということもあり、敢えて「思ったことや感想を書いてね」というだけで、いわゆる“書き方指導”は行わなかった。教師の意図を汲んで書いてしまうことを避けたかったためだ。
しかし、子ども達が書いたものに驚かされた。「こんなにできるのか!」。もちろん、子供同士で“自然交流”を行なうので、似たような表記は見られるが、それぞれが自分の“思い”を文に表そうとしていることが伝わってくるのだ。「書きたい!」という意欲がみなぎっているのだ。
学級担任でしかわからないことだが、それぞれの子の日々の活動や表情を思い浮かべながら、それぞれの文を読むと、それがより強く伝わってくる。「担任冥利」とはこのことだ。
「鑑賞」の活動は難しいが、子ども達が本質的に求める題材を見極めて提供していくことが、まずは大切なことだと考えている。 (未完)
※《後日談》カラー印刷した本資料を校長に見ていただいたところ、子ども達の文言を取り上げながら、とても喜んでいた。子ども達の素晴らしさを共有することができた。日々のそういうことも大切なことだと思っている。