創作昔話『羅夢翁』 羅夢翁(らむじい) 作


むかしむかし、夢を形にする不思議な村があったそうな。 あるものは、夢をまあるくして鞠にしてあそんだり、あるものは夢を長い棒にして 木の実をとったり、まあとにかく、たくさんある夢をどんどん形にして、 ちょいと使ってはそのままほったらかしにして、夢を粗末にしていたそうな。
 村のお寺の和尚さんは、「夢は、だいじにせにゃならん」と、村人たちに口を酸っぱくして言っておったそうじゃが、村人たちは、そんなことには、いっこうに耳をかたむけず、 「和尚、こんなにたくさん、夢があるんだから、どんどん形にしないともったいない」などどといって、夢のありがたみを忘れ、どんどん夢を、いろいろな物に 変え、いつも粗末にあつかっていたそうじゃ。  あるとき村に、夜だというのに昼間のようなまばゆいほどの光が、差したそうな。朝になってみると なんと村人はみな、夢を失っていたそうじゃ。  困り果てた村人たちは、みなで、和尚さんのところに 相談にいったそうな。 和尚さんは、「夢を 粗末にした バチが あたったんじゃよ。」と村人たちをいましめたそうな。村人たちは 口々に 夢を粗末にしたことを反省し、和尚さんに、なんとかしてほしいと頼んだそうな。「和尚さん、なんとか、夢を取り戻す方法は、ないものでしょうか?」、和尚さんも、みなが反省しているので、なんとか助けたあげたとは思ったが、どうすることもできなかったそうな。 
その晩、和尚は、不思議な夢をみたそうな。お釈迦様が夢にでてきて、「和尚さん、村人たちを救いたいのなら、村人たちと一緒に、他の村へ出かけ、夢の大切さを説いて広めなさい。そして夢を千夢、集め、お寺に 供えなさい。そうすれば、この村人たちの夢を とりもどすことができるでしょう。」
次の日、和尚は、さっそく村人達にそのことを話し、みなで 夢を集めることにしたそうな。 和尚さんと村人たちは それはそれは一生懸命、他の村に、夢の大切さを説いて回り、ひとつひとつ、だいじにだいじに夢を集めたそうな。いつしか和尚さんは、羅夢翁と呼ばれるようになったそうな。羅夢翁和尚と村人たちは一年ががりで 千の夢を集め、お寺に供えたそうな。
 すると、お釈迦様の言ったとおり、村人たちは、夢を取り戻し、みな幸せに暮らしたそうな。それからというもの 夢を粗末にする村人は、一人もいなくなったそうな。今でも、そのお寺には、一羽一羽に夢がしるされた「羅夢翁の千羽鶴」が残っているそうな。めでたしめでたし。♪
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